インタビューサポートレポート教育

私が選んだのは、日本の原風景が残る町。子どもは地域の宝物(前編)

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わたしのやりたい子育ては、“子どもを育てない子育て”なの。
大人が全部教えなくても子どもたちは自分の力で育っていくから。
大人たちが肩肘を張らずに、力を抜いて子どもの成長をみんなで見守っていける場所があったらいいな。
この町なら、ずっと思い描いていた子育てが実現できそう。

500年の歴史ある町に生まれた、育児を助け合う“みんなの家”

秋田駅から北に約30キロ。

秋田市と能代市の中間に位置する五城目(ごじょうめ)町は、山と田園に囲まれた緑豊かな地域。

町には500年以上の歴史を持つ「朝市」の文化が残り、五城目の代名詞的な存在にもなっています。

そんな五城目町に、新たな子育て支援の拠点「んなのいえ」がプレオープンしたのは2017年の秋のこと。

「んなのいえ」

秋田の言葉で「みんなの家」

利用者の年齢制限はありません。

親子はもちろん、これから親になる人、未婚の人、学生さんからお年寄りまで大歓迎。県外から五城目町に遊びに来た人が立ち寄っても大丈夫。

リラックスして過ごせる第二の我が家のような場所を目指し、2018年の春より本格的に活動がスタートしました。

今回は、編集長の佐藤が五城目町を訪れ、「んなのいえ」を立ち上げた竹内治子(たけうちはるこ)さんにお話を伺いました。

治子さんは育ち盛りの4人息子を持つお母さん。東京生まれ東京育ちの彼女は、長男を出産後、鎌倉市、秋田市へ移住を経て、2016年に五城目町へやってきました。

Facebook越しに取材のお願いをした時から「だったらうちに泊まって!」と、一度も会ったことがない私にも愛情たっぷりの治子さん。

ちょっと緊張しながら電車を降りると、太陽みたいなお母さんが駅の前に迎えに来てくれました。

お母さんたちのもう一軒の我が家として

築60年の空き家をリノベーションして作られたコミュニティスペースには、機織り機やミシンが設置されています。遊ぶ子どもを見守りながら、大人たちは手仕事をして過ごせるようになっているんです。

育児のことで分からないことがあれば先輩たちに気軽に相談し、疲れた時はちょっとだけ抱っこを変わってもらうことだってできる……。

ここは、お母さんたちの「ほしかった」が詰まった場所。

 

──「んなのいえ」ではどんなことができるのですか?

「んなのいえ」は、子育て中のお母さん・お父さんの助け合いの拠点であり、ワーキングスペースとしても利用できます。

栽培した木綿から糸を作ったり、出来上がった糸で布を織ったり。ここにある材料を自由に使い、好きなものを作れるんです。

手しごとをしていると初対面同士でも不思議と会話が弾むので、和気あいあいとした雰囲気になるんですよね。

出来上がった作品を五城目の朝市で販売したり、将来的にはインターネットでも販売したいと思っています。

スタッフの中には、作家として収入を得ているお母さんもいますよ。子育ても仕事もみんなで助け合いながら実現できる「みんなのおうち」になったらいいなという思いでやっています。

──台所もあるんですね!

そうなんです。この流し台、ちょっと変わった形でしょ?これは、洗い物をみんなで一緒にできるようにと考えて作ったものなんです。

普通のキッチンだと、一人だけ洗い物をして背中を向けることになっちゃうけど、ちょっと寂しいなと思って……。みんなでワイワイ楽しく洗い物をしてます(笑)。

──洗い物や料理をしながら、会話も弾みそうですね。ここでご飯を作れるのも、お母さんたちにとって嬉しいポイントなのでは。

五城目には飲食店自体が少ないので、自由に使える台所があればお母さんたちも助かると思います。夕飯のおかずを作って家に持ち帰ることもできるし、多く作りすぎてしまったらお裾分けすればいい。

「今日は旦那の帰りが遅いから子どもと二人で夕食……」という日は、んなのいえで食卓を囲むこともできます。

あなたの子どもは地域の子ども。都会では眉をひそめられることも、五城目では歓迎された

──治子さんは、どうして「んなのいえ」を作ろうと思ったんですか?

実は、鎌倉に住んでいた時に参加した“あおぞら自主保育”での経験が私の子育ての考え方の土台になっているんです。

鎌倉の自然の中で、お母さんたちが協力して保育を行う取り組みからたくさんのことを学びました。

お母さんたちが集まればこんなに育児が楽になるんだ!ちょっとした悩みがあってもすぐに相談できるし、子どもたちものびのび育つ。

もっともっと自然豊かな場所で、あおぞら自主保育みたいなことができないかな?と思い、鎌倉から秋田へ移り住みました。

──数ある地域の中で、五城目を選んだ理由は?

沖縄、北海道、九州、長野……色々な移住先を夫と検討しましたが、五城目の地域性に惹かれたんです。

採れた山菜やおかずをご近所にお裾分けしたり、家の修繕をみんなで協力して行ったり。

そして何より、「地域の子どもはみんなの子ども」という視点が残っていたことも魅力でした。

──すでに出来上がっている濃いコミュニティの中へ入っていく難しさもあったのでは?もともと住んでいた方たちの反応は?

五城目に引っ越して来た時、役場の方に連れられて、集落の会長さんやご近所へ挨拶をしに行ったのですが「4人も子どもがいるのー!?」と大歓迎を受けました(笑)。みんな優しかったですね。

やんちゃな子どもが4人もいたら、都会なら眉をひそめられるかもしれません。でも、ここでは子どもがいるだけで喜んでもらえる。

子どもがちょっとやんちゃなことをしても、「子どもはそんなもんだよ」と見守ってくれたり、我が子と同じように叱ってくれたりするので、母親だけが気を使って肩身の狭い思いをすることもありません。

地域のみんなで子育てをしている感じです。

子どもは地域の宝物。

よそ者扱いをされるどころか、大歓迎を受けた治子さんファミリー。自然の恵をたっぷり享受できる五城目には、都会のような窮屈さはありません。

しかし最近、ちょっとだけ難しい問題が起こりました。

中学生の長男は難しい年頃。以前は野山で駆け回って遊んでいたのに、「こんな不便なとこもう嫌だ!」と治子さんに自分の気持ちをぶつけることが増えたそうです。

後編に続く

「んなのいえ」
住所:秋田県南秋田郡五城目町字稲荷前60
営業時間:11:30-17:00
定休日:不定休(Facebookをご確認ください)
利用料:のんびり1日券…300円/のんびり会員(フリーパス)…3,000円/1ヶ月/おしごと会員…3,000円/1ヶ月
レンタルスペース:講座やランチ会などにお使いいただけます。1時間300円〜

詳しくはFacebookでお問い合わせください。

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