レポート

保育園を起点に「人」や「まち」をつなぐ。コミュニティコーディネーターというお仕事(前編)

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コミュニティコーディネーターという職業をご存知でしょうか?
主に保育園に居ながら、園の子ども・保護者・保育者と地域を、コミュニケーションを取りながらつなぐお仕事です。

具体的にどんな活動をされているのか?どういった想いがあるのか?
Kanade(かなで)流山セントラルパーク保育園のコミュニティコーディネーター、滝口さんにインタビューしてきました!

◾️滝口 優(たきぐちすぐる)
農機メーカー、IT系企業、保育関連事業を運営するナチュラルスマイルジャパン株式会社へ勤務したのち、つくばエクスプレス 流山セントラルパーク駅近くに今年4月に開園した「Kanade流山セントラルパーク保育園」のコミュニティコーディネーターとして入職。4歳、1歳の子のお父さん。
(Kanade流山セントラルパーク保育園については、こちら

※Kanade流山セントラルパーク保育園はナチュラルスマイルジャパン株式会社が運営するまちの保育園のアライアンス園となっています。まちの保育園は、こども主体のまちぐるみの保育を大切にしている、または今後していきたいと考える園や法人と、こどもの環境やコミュニティづくりについて、共に学び、実践を深めて行く提携制度(アライアンス)を設けています。

コミュニティコーディネーターって、つまり何をしているの?

滝口:ざっくり言うと、保育園に通う子どもや保護者、保育者、園の周りの地域の方、それぞれのコミュニケーションの橋渡しのようなことをしています。
コミュニケーションは、子ども同士や、子どもと保育者、保護者同士、保育者同士、いろいろな方向があるんですけど、それらを支えたり盛り上げるようなことをしていますね。

滝口:日々は何をしているかというと、園の事務・用務職です。
市役所への書類提出、園内の保育に必要な書類や掲示物・園だより・行事の冊子も作っています。
保育に必要な書類は保育士さんに作成してもらいますが、その書式は主にぼくが作っています。

はしもと:やることがたくさんありますね。

滝口:そうですね。でも事務仕事は苦じゃないので、パーっと終わっちゃうかな。
あとは用務。壊れたものを直したり、ベンチを作ってあげたり・・

はしもと:ベンチも作るんですか?!

滝口:あ、ぼくは苦手なんですけどね。周りの先生からも見放されています 笑
ほかの園のコミュニティコーディネーターで、ベンチを作っている方もいるんです。そうしたDIYのようなことをするのも、仕事の一つなんですよ。
要は、保育士さんや栄養士さん、給食を作っている方が本来の仕事に集中しやすいように立ち回ったり整えたりすること全般が、ぼくの仕事なんです。保育士さんの一番の仕事は子どもの成長を見てあげることで、これに加えて書類をつくったり壊れたものを直す仕事も保育士さんが担うのでは、大変なんですよね。

はしもと:一般的に「コミュニティコーディネーター」というと、そういう立ち回りをするものなのでしょうか?

滝口:園によりますが、うちの園ではそれが「コミュニティコーディネーターの仕事」ということになっていますね。

佐藤:保育士さんたちの研修や面談といった、フォローもされているのですか?

滝口:それはやっていません。コミュニティコーディネーターは、保育士さんと同僚という立場なんですよ。
保育に関しては保育士さんから学ぶことが多いですね。ぼくは子どもが2人いますが、子育てと保育って結構違うと思います。大勢を見ないといけないし、子どもが月齢・年齢ごとにどう成長していくのか、理解していないといけないですしね。

滝口さんはなぜ、コミュニティコーディネーターになったのか

滝口:前職はナチュラルスマイルジャパンという保育関連の会社で仕事をしていました。
ナチュラルスマイルジャパンが運営する「まちの保育園」は、子ども・保護者・保育者と地域をつなぐ存在として「コミュニティコーディネーター」という専任職員を置いて運営しています。

当時ぼくは本社スタッフとして働いていたんですが、そのときからコミュニティコーディネーターってすごくすてきな仕事だなって、思っていたんですよね。
ぼく自身子どもが好きですし、なにか活動を企画することも好きなので、Kanade流山セントラルパーク保育園で募集があるのを見つけて応募し、入職が決まりました。

佐藤:コミュニティコーディネーターという職種を園が募集しているというのが、新しいですね。保育園での募集というと、主任保育士や保育士のイメージが強いので。

滝口:そうですね、今はまだ数が少ないですが、「まちの保育園」と同じ思いや理念を持って運営したいと思っている事業者さんの園(アライアンス園)では、大体コミュニティコーディネーターを置いていますね。
まちにひらく保育や自分たちの理念を実現しようとしたときに、コミュニティコーディネーターって結構重要なポジションになってくるので。

佐藤:保育士さんの労働問題が叫ばれていますけど、1人入るだけで事務の手間も減るし、人間関係の絶妙なところを橋渡ししていただけるって、すごく助かると思います。

はしもと:理事長先生や園長先生ともコミュニケーションを取りながらお仕事されているとのことですが、目上の方とコミュニケーションを取るって、大変ではないですか?

滝口:いや特に・・お互いにオープンな性格なので 笑

はしもと:そうなんですね!今回の取材のことも、園長先生に1日でお話を通してくださってて、めちゃくちゃ早いなと思っていたんです。

滝口:「ぜひ行ってきてください」と。
ぼくらのやっていることをkanokoさんで発信していただくことで、子どもたちにもいい出会いがあるかもしれないですし、一緒に保育したいって仲間になる方も来てくださるかもしれない、ぼくらにとってもいいことだらけなので。

佐藤:そうなんですね。オープンだなあ・・

滝口:まあ、そんな丁寧に話してないですけどね。
「取材きたんでいってきまーす」「はーい、いってらっしゃーい」みたいなノリです 笑
子どもにとっていいこと・ためになることなら、全然やっていいっていう思いが、ぼくの中にあるんですけど、園長や理事長とは大切にしていることが一緒なので、だから取材のことも、もちろんいいよと言ってくれたんだと思います。

滝口さんのコミュニケーションから、人や地域をつなげていく

滝口:外に行くときは自転車で移動することが多いです。市役所へ行ったり、地域の方のところへ行くときなんかも。

はしもと:地域の方というと・・

滝口:畑をやられているおばあちゃんのところとか。
保育園の給食用の食材を納品してくださっている方から、栄養士経由でご紹介いただいたんです。その畑に子どもたちとお邪魔しました。
あとは、七夕用の笹を採っても良い場所を教えていただいて、実際に採りに行ったりもしましたね。

はしもと:なるほど、滝口さんがつないだ「人脈」というか、地域の方々との関係性を、園の子どもたちに還元しているんですね。

滝口:はい。地域の方とつながるといってもいろいろなつながり方があると思うんですけど、うちの園の場合、引っ越してきたばかりのご家庭が多くて、まだあまり保護者の方からのおつながりはないんです。
そもそも保護者の方々が、地域に知り合いがいらっしゃらないという状況だったりして、まさにそれが課題だったりします。

はしもと:保育園自体が地域とつながったり、保護者同士がつながったり、開園半年のいまは人同士やコミュニティ同士をどんどん接着している段階なんですね。

滝口:そうですね。でもまず一番は、子ども・保護者・保育者といった、園内のつながりを作ることからだと思っています。園内があたたまってきたら、もっと地域へ出ていきたいですね。
でも、それを待ってから地域におつながりを作ろうとすると時間がかかるので、今からちょっとずつ、園の外に出るようにしています。

子どもと接する時間は大事。そこからコミュニケーションがうまれる

はしもと:滝口さんの1日のスケジュールは、どのようになっていますか?

滝口:スケジュールですか。無いですね。

はしもと:やっぱり 笑

滝口:先ほど言った事務や用務と・・・保育補助にも入りますよ。

佐藤:保育補助も!

滝口:はい。うちの園は2階にあるので、0歳や1歳の子たちがお散歩にいくときに1階に連れていってあげたりします。ときにはお散歩にも一緒に行きますよ。あとは、お昼寝の前にクラスに呼んでもらって、寝る前の着替えのお手伝いや寝かしつけをしています。

はしもと:子どもとの距離も近くなりますね。

滝口:保育補助がいちばん楽しいです。子どもがどんなことに興味関心があるかを知った上で地域の方とつなぎたいので、子どもと接する時間って大事なんですよ。

滝口:保護者の方とコミュニケーションをとるときも、話題の中心は子どものことなんですよね。
子どもの話をするから、ぼくも保護者の方もお互いに話しやすいし、それ以後、世間話ができる関係になったりする。
園に限ったことではないですが、コミュニケーションって「子どもが中心で、保護者・保育者・地域の方がその周りにいる」という構図になっていると思います。
スーパーに子どもと行くと、かわいいねって言ってもらって、そこから会話が始まったりするじゃないですか。
子どもの社会的な役割ってすごく大きいなと思いますね。

開園して半年。子どもたちの中にもコミュニティができていくのを見るのが、たまらなく嬉しい

滝口:ぼくらは一斉保育よりもできるだけ個別保育、小グループで活動する、子ども1人ずつの個性を尊重する、という方向で活動を組み立てています。決まったカリキュラムは特に無いんです。

佐藤:月の目標や、週案や日案はありますか?
(※週案:1週間を見通して活動を具体的に立てる指導案 / 日案:1日の子どもの生活時間を見通して立てる指導案)

滝口:それはあります。子どもたちになってほしい姿というのがありますので、それに対しての計画は大事です。
とはいえまだ開園半年なので、いまやりたい保育が全部実現できているかというと、難しいのですが・・

はしもと:「こういう保育をしたい!しよう!」と、滝口さんが先頭をきって進めているのですか?

滝口:いえ、保育士さんたち含め、みんなで取り組んでいっています。
ぼくはナチュラルスマイルジャパンにいたものの、保育の現場についてはKanadeに来てから知ったことの方が多いんですよ。

はしもと:たとえば?

滝口:「保育園の1日の生活の流れって本当にこうなってるんだ!」とか。あとは子どもって、生活に慣れるまでにとても時間がかかるということ。環境を用意して、2〜3ヶ月で慣れる子もいるし、半年かかる子もいます。

でも、入園から半年たった今では、0歳の子でも「この時間になったらご飯」って分かってるし、1歳の子はお昼寝の時間になったら自分でお昼寝コットに行ってゴロンと寝転ぶ。入園したての頃は、全く行かなかったですね、泣いちゃったりしていました。
2歳の子たちは、4月は一緒のお部屋にいてもお友だちという感じが全くなかったんですが、今ではみんな、すごく仲が良くてほほえましいです。

だんだん家族みたいになってきて、子どもたちの中にもコミュニティができてくるんですよね。
お友だちのことは「お友だちだ」って、0歳の子でも分かっていて、列から遅れている子の手を引いてあげたりするんですよ。合同保育では、上のクラスの子が、下のクラスの子の面倒を見てくれたり。
大変な部分は当然いっぱいありますが、
そういうのを見る瞬間が、もうたまらないですね。

コミュニティコーディネーターとして、滝口さんが目指すこと

流山セントラルパーク駅付近は開発中の地区。子育て世代の転入も多く、もともと地域に住んでいる方々と、新しく転入してきた方々、そして子どもたち、さまざまな世代やバックグラウンドを持つ方が多様に住まう地域でもあります。その中で、どんなつながりを作っていこうとしているのでしょうか。

滝口:園の理念でもありますが、先生と子どもたち、子どもと子ども、家庭と園、そして園を拠点として大人同士、園と地域とがつながって交流し、豊かな生活を“奏で合う”園となること、それを目指しています。

子どもたちにとって出会いの場・学びの機会を作っていくのはもちろんですが、そのために「まちづくり」につながることをしていきたいと思っています。

滝口:保育園自体を、地域の方に来てもらえるような、まちの拠点にしていきたいんです。
いろいろ活動をしながら、徐々に子ども・保護者・保育者・地域の方々のコミュニティをつなげていくことで、園を介さなくとも、大人同士がどんどんつながっていく。
そうすると子どもに優しい文化や社会がまちのなかに作られていって、大人も安心して子育てできますし、子どもの世界や学びの場が、どんどん広がっていくと思うんです。

はしもと:いろいろな活動をしていく中で、気がつけば、滝口さんが知らないところであの人とこの人がつながっている、そういうつながりが生まれていくってことですね。子どもにとっても、いろいろな人に出会ったり、会話を耳にする機会が増えることで、自分の中のバランスや生きる力を培うことにつながると思います。

滝口:こうした活動はイベント的にポツポツとやっていても、浸透していかないと思うんです。継続することで、少しずつみんながつながっていくんだと思います。

ぼく今、アイディアにあふれているんです。あれもやりたい、これもやりたい〜って 笑
園でファーマーズマーケットを開催して農家さんに野菜を直売してもらったり、そこから発展させて、流鉄流山線(※)の車内で直売したりもしてみたいです。
(※りゅうてつながれやません:流山市内を走る、100年以上の歴史がある鉄道)

佐藤:おもしろそうですね!ローカル線って愛されているから、相性が良いと思います。

滝口:切り絵行灯(※)も、作っていただけることになったんです。
(※きりえあんどん:流山市内にある流山本町(ながれやまほんちょう)地区の活性化のために作られた、切り絵がはめられた手作りの行灯)

はしもと:とても素敵ですね。子どもたちが流山本町を歩いたときに「これ保育園にあるのと同じだ」って話を、きっとしますよね。

滝口:行灯を作った方々の思いも子どもたちに聞いてもらいたいし、保護者の方にも流山本町に興味を持ってもらいたい。行灯をただ置くのではなく、子どもたちや保護者さんにとって良い出会いの場にしたいと思っていて、出会い方は少し工夫したいと思っています。
ある日突然、保育園の前に行灯ができていたら、感動もへったくそもないですからね 笑 

こちらが完成した切り絵行灯。制作した方々を園にお招きし、保護者、子どもたちと点灯式を行ったそうです。

滝口:流山本町と保育園は立地としては離れていますが、切り絵行灯をコミュニティの軸として、園でも流山本町のイベントに参加させていただけたら嬉しいと思っています。保護者の方も「Kanadeの行灯が流山本町のイベントに出るらしい、それなら行ってみようよ」ってなると思うんです。

これは子育て支援の活動をされている地域の方々とお話したことで、ぼくもそうだなと思ったことなんですけど、支援センターのほかにも知っている・行ける場所が地域にあるというのは、子育てをしている身にとっては気持ちが楽になることがあると思うんですよね。
「今度はあそこにお出かけしてみよう」「この間みんなで行ったあのカフェ、とても良かったから家族で行ってみたいな」って、新しい土地で思えるようになるとホッとするのかなって。行く方も、まちやお店の方にとっても、お互いに良いことだなと思っています。

後編に続きます)

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