コラム

【はしもとのあしあと】Vol.9 私らしいイラストを自信を持って描けるようになるためには?

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こんにちは、はしもとです。2週間後に引っ越しを控えているのですが、その兆候が全く見られない、いつもどおり散らかった部屋で、このコラムを書いています。安定感がありすぎて引っ越しが不安です。

今回はイラストのお話です。趣味から始まり、イラストレーターとしてこれまで夢中で描いてきた中で、中途半端で参考にならない、執着する必要もないと思っていた感覚が、実は重要かもしれないと思えてきたので、そのことについて書きたいと思います。

イラストをどうやって描いているのか、自分でもよく分かっていない

イラストを描いている中で「あれ?」と、違和感を感じることがあります。
それは、私が描いたイラストに対して自分自身が感じることと、見てくださる方が感じることには、感覚のズレや、評価のギャップがあるということ。

例えば、

・似顔絵は苦手だと思っていたけど、描くと「似てる」と複数の方から言っていただける
5分くらいでササッと描いたものや、なんとなく感覚で色を置いたものが、良いと褒めていただける

といったことです。

もちろん絵の見方は人それぞれなので、作る側と見る側の感覚の違いは当然あると思いますが、いま感じている違和感はまた別のもので、それは「これ良いね」「はしもとさんらしいね」と言われるイラストを、自分がどうやって描いているのか、どうして描けるのか、あまりよく分かっていないのです。描いてみたら描けた、ということが非常に多い。

私自身はまだまだ技術不足なので、そこを補うために、できるだけ時間を確保して丁寧に作っていこうとしているのですが、時間をかけたからといって、良いと言っていただけるイラストが描けるとは限らないということも、実感するようになってきました。
むしろ、パッと頭に浮かぶ、直感というか、時間にして1秒ほど浮かんで消える残像のようなものを捉えてイラストにできた場合は、良いと言われることが多いです。

偶然や直感で描くことはできますが再現する自信が無いので、好評価をいただいてもなかなか受け取ることができずにいます。毎回偶然でできあがるのも味といえばそうなのですが、自信が持てていないことについては、何とかならんものか?と感じています。

私自身が、見る側の立場として「良いなあ」と感じるイラストとは?

そんなことをぐるぐる考えていたここ1〜2ヶ月の間で、イラストを生業にしていない方々が描くイラストを拝見する機会が多くありました。
全く別のお仕事をされていたり、小学生の子どもたちが描いたもので、いずれも「もっと見たいな」と思ったり、細部までしげしげ見たくなるイラストばかり。
そこで、惹きつける魅力があるイラストは、少なくとも、描き手が楽しんで描いたものなんだろうということに気がつきました。

私の場合を振り返っても、好評だったイラストは、かけた時間の長さに関係なく、笑ったりウキウキしながら描いたものが多いです。もっと見たいと思ってもらえるからこそ、伝える手段になりえる。技術はとても大切ですが、良いと感じてもらうイラストは、技術以外の要素も含んでいるのだなと感じました。

楽しく描けるのは、手順を知っているからこそ

では楽しんで描いてさえいれば、私の良さを発揮できるイラストを毎回描くことができるのだろうか?少し曖昧だなと思っていたところで、描くことについて夫と会話するタイミングがありました。

楽しむことが先ではなく、描く方法を知っていることが先。描けるからこそ、楽しい。
まさにその通りだと思いました。

私が「もっと見たい」と感じた小学生の子どもたちの絵というのは、まちの史跡や歴史を紹介したイラストガイドブックです。
こちらは6年生の総合学習の一貫で、私も少しだけご協力させていただき、「イラストを使って伝える」ことについて、ガイドブック作成前に授業をさせていただきました。授業の中で私は人の顔の描き方を説明し(描き方はすでにあるメソッドを活用させていただきました)、実際に子どもたちに描いてもらったところ、もれなく全員人の顔が描けるようになり、

「絵を描くことが苦手なので授業は嫌だなと思っていたけど、描けたから嬉しかった」
「絵で描いて伝えることを、自分でもやってみようと思う」

という感想を寄せてくれました。

その後子どもたちが作成したイラストガイドブックは、ついつい見たくなる魅力あるものとして完成。これも「描ける自信」に裏打ちされ、だから楽しく描けて、結果見る人を惹きつけるんだなと、納得しました。

なんとなく描いていたけど、その「なんとなく」の部分が私の描き方

私は楽しい時にパフォーマンスがあがるので、なるべくそういられるようメンタルを管理すること自体は、とても大事だと思っています。でも実際はいつも楽しくいられるわけではないし、めちゃくちゃ緊張しながら、パフォーマンスを発揮する必要がある場面だってあると思いますし、そうした時は自信を持って描きたいです。

なんとなく描いたものを「良い」と言っていただくことが多いので、その「なんとなく」の部分がどうなっているか、つまりそれが私の描き方なのだと思いますが、これを知っている必要があるなと、今回整理して感じています。なんだか基本すぎるのですが、そう気づけたことがまずは良かったことです。

どのくらいの時間をかけることが適正で、どのくらいの精度で描きたいものをイメージすると良いのか。今まで知ろうとしていなかった感覚とピントを合わせることをしていこうと思います。ポイントとしてはやはり描く量が重要で、そこが分析や質の向上につながるだろうと感じています。

今まで知ろうとしてこなかったのは、知る必要がないと思っていたからで、そこを自分であばくような少し恥ずかしい気持ちもありますが、描ける自信につながる伸びしろと思い、やっていきたいです。

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